川柳こころの散歩道(2)

川柳が誕生し二百五十余年。サラリーマン川柳の影響で誤解されがちですが、面白おかしく詠めばよいというものでもありません。
 標語や金言風になってしまっても、味わいがありません。17音字に作者の姿や思いが立ち上ってくるかどうかがポイントです。

42号お題「出発」(6/30締切)
43号お題「走る」(9/30締切)

投句先(池永重彦まで)
s.f777.ikenaga@gmail.com

お題「箒」入選作

中川千都子 心理カウンセラー、川柳作家。故時実新子直弟子。現代川柳研究会会員。著書『石の名前』

箒だこ神様からの勲章か  
(東京都/川野士郎)
片減りのシダの箒が捨てられず
(高槻市/岡本悠)
アスファルトチリを掃き取り素顔かな
(東京都/佐野二郎) 
柩には父の箒も入れてある
(大阪市/川端日出夫)
年の暮れ落ち葉も黙る竹ぼうき
(東京都/池田啓一郎)
朝焼けや掃きそうじ後の美しさ
(福岡県田川郡/廣瀬透)
ロックンロール箒片手に歌う君
(大阪市/伊藤惠子)
箒目に椿が落ちて五線譜に
(滋賀県草津市/宇野弘子)
氷張る朝の静けさ持つ箒   
(京都府/平里彩)

ワンポイントアドバイス

「題に寄りかからない」
 お題を知らなければ意味の通らない作品は「題に寄りかかった川柳」となります。
△身代わりを黙って受けた身を削り
(大阪市/池永重彦)
 使ううちに擦り減った箒への心情の表れた良い句です。「お題」を知らなくても、何を詠んでいるかが伝わる作句が好ましいです。
○添削句
 身を削り黙って朽ちる竹箒

絵 鈴木砂予子