川柳こころの散歩道(6)

 川柳は出来事ではなく「心」を詠む文芸。お題がある場合は、題に託して自分の思いや感情を表現することができればgood!
 さあ、今回も川柳の小径をご一緒にお散歩いたしましょう。

川柳ワンポイントアドバイス

 「中8音に注意!」

△雨模様お掃除始めて快晴に
(東京都/川野士郎)


 川柳の基本は五七五、掲句はその中七が8音になっています。川柳はリズムが大切。初心のうちは中七が8音になりやすいので要注意です。
○添削句 
雨模様掃いているうち快晴に
 「掃く」という動作を入れることで具体的になり、作者の姿がより鮮明になります。晴れてゆく空は作者の心をも連想させるでしょう。

*お題「空」入選作 (入選7句 応募13名48句)

雨男掃除のたびに空を見る
(東京都/池田啓一郎)

・降らないでほしいという作者の気持ちが伝わってきますね。

見上げたら等しき明日の希望かな
(松戸市/佐藤誠)
・空を見上げるとき人はみな希望を抱くもの。


夕焼けの空に私も溶け落ちる
(高槻市/岡本悠)
・美しい句。夕焼けに染まる作者。


海越えて初孫の来る空見上げ
(東京都/縄田良作)
・遠く離れた地とてこの空は繋がっている。待ち遠しく弾む胸。


線香も空まで続く彼岸入り
(京都市/平里彩)
・空まで上る線香の煙は亡き人と自分を繋ぐかのように。


大空は何もないのに何かある
(大阪市/池永重彦)
・深く哲学的な一句。だからこそ誰もが空に問いかける。


朝焼けに集めたゴミが輝けり
(福岡県/廣瀬透)
・ゴミさえも輝いて見える掃除のあとの清々しさよ。

46号お題「母」(6/15締切)
47号お題「手」(9/15締切)
s.f777.ikenaga@gmail.comまで。
ご一緒にLet’s川柳!


中川千都子(なかがわちづこ)
心理カウンセラー、川柳作家。川柳専門誌『現代川柳』編集長