川柳こころの散歩道(3)

 一定の規則に則って書き表される文を「韻文」、それに対し韻律や句法にとらわれずに書く文は「散文」といいます。韻文に区分けされるものに、和歌、俳句、漢詩…そしてこの川柳も五七五の十七音字の決まりで詠むので韻文です。

川柳ワンポイントアドバイス

「中七音を守る」
△ワクワクと緊張感入り交じる出国ゲート  
(大阪市/藤久晃)
 掲句は、思いが溢れて字数オーバーに。このままでは韻文ではなく散文になるので、主旨を変えずに語順などを変えてみましょう。
上五・中七・下五のうち、上五が長くなっても中七音を守るとリズムが調います。
△添削句
出国ゲート期待と不安織り交ぜて

お題「出発」入選作

朝六時のぞみ号から見る朝日
(大阪市/伊藤憲男) 
本降りにカッパ着こんでいざ出陣
(福岡県田川郡/廣瀬透)
五輪後に四年後目指し再始動 
(千葉県松戸市/佐藤誠)
行くあてもないが出発する羽目に
(大阪市/井上貴子)
青空も味方している新天地
(滋賀県草津市/宇野弘子)
出発に急いで渡す握り飯
(京都府/平里彩)
百の嘘ついて出発止めている   
(大阪市/川端日出夫)
今日もまた出発の鐘高らかに   
(大阪市/池永重彦)
決心が変わらぬうちに行きましょう   
(大阪市/伊藤惠子)

43号お題「走る」(9/30締切)
投句先(池永重彦まで)
s.f777.ikenaga@gmail.comまで。

中川千都子(なかがわちづこ)
心理カウンセラー、川柳作家。故時実新子直弟子。現代川柳研究会会員。著書『石の名前』(左右社)、川柳専門誌『現代川柳』編集長

絵 鈴木砂予子