鍵山秀三郎「一日一話」(3)
PHP研究所

鍵山 秀三郎(著)
亀井 民治(編)

益はなくとも…

 ほとんどの人の価値基準が、得をするか、儲かるか、つまり「益がなければ意味がない」という考え方です。この考え方こそが、今の日本をダメにしてきた最も大きな要因だと思います。いまこそ、『晏子』の至言、「益はなくとも意味はある」という言葉に耳を傾けるときではないでしょうか。
(日付3・15)

掃除を始める極意

 掃除を始めるコツは、まず道具をきちんと揃えることです。道具にはキチンとした吊りひもをつけます。次に、道具の置き場所を決めることが大切です。普通、掃除道具は目に入らないところに隠しておいてある会社が多いのですが、当社は誰からも見える場所においてあります。そうすると、掃除をする社風が定着します。(3・19)

本物人間

 その人が本物であるかどうかを見分ける判断基準として、二つあると思います。一つは、その人の言っていることとやっていることが、どれだけ一致しているかです。あと一つは、自分自身の利益に直接結びつかないことに対して、どれだけ無心に打ち込んでいるかです。いずれも重要な判断基準だと思います。 (3・27)

足元のゴミ拾いから

 「心の教育が大切」とか「奉仕活動の義務化」などと、いつまでも抽象論を唱えているのが政治家です。政治家が権限だけを駆使して、実情に合わない通達を乱発しても何も好転しません。政治家が本気でそう思っているのならば、自分たちの仕事場である永田町の周りをきれいに掃除することです。散らかっている足元のゴミを拾う実践から始めることです。
(4・3)

タバコの吸殻

 捨てられた吸殻は、誰かが気づいて拾わない限り、いつまでもそのままで、通行人の目に留まることになります。同時に、その吸殻が目に留まるたびに、人の心を荒ませてしまいます。人の心というものは、小さなゴミ一つによっても乱されるものです。「タバコの吸殻くらい」と、無神経に捨てる人が世の中を悪くしているのではないでしょうか。 (4・27)

掃除をしながら…

 「私がこのゴミを拾わなければ、一日中ここを通る人の目に触れる。私がこのゴミを拾えば、通る人たちが汚いゴミを見ないですむ」 
 毎朝掃除をしながら、そう思うようになりました。特に、通学中の子どもさんや通勤中のサラリーマン、来社されるお客様がゴミを目にしなくてもいいように掃除をしております。きれいにしておけば、人の心の荒みもなくなるはずです。 (5・10)

(絵・上村 禎彦)