『鍵山秀三郎「一日一話」』(PHP研究所)

鍵山 秀三郎(著)
亀井 民治(編)

ひとつ拾えば、ひとつだけきれいになる

私の思いを込めた言葉です。大切なことは、一歩を踏み出す勇気。一歩を踏み出さなければ、前に進むことができません。具体的には、足元のゴミを拾う実践から始めることです。ゴミを拾う人は、ゴミを捨てないものです。足元のゴミ一つ拾えぬ人間に何ができましょう。(日付1・1)

掃除を始めた理由

「心の荒みは諸悪の根源」 会社を創業したころ、私たちの業界は大変荒んでおりました。当然、仕事をしている社員の心も荒んでまいります。そこで、この荒んだ社員の心を穏やかにするためにはどうしたらいいか。熟慮の末始めたのが掃除でした。この取り組みは間違っていなかった。今もそう確信しております。(1・9)

掃除を始めたころの社内

最初は私一人で始めました。そのころ、私が掃除をしていても、社員は感心するどころか、逆でした。私がトイレ掃除をしている横で用を足していく社員や、階段を拭いている私の手を飛び越えていく社員ばかりでした。「掃除なんかしてもムダ。もっと売上を上げて、儲けることが大事」という考え方が、社内の大勢を占めていたように思います。(1・10)

掃除の歴史

最初の10年間は、ほとんど私だけで掃除をしていました。10年過ぎる頃から、一人二人と手伝ってくれる社員が現われました。20年になるころは、仕入れ先やお客様から評価されるようになりました。仕事に直接関係ない方々が、掃除研修に来社されるようになりました。30年過ぎるころから日本全国に「掃除に学ぶ会」ができるようになりました。(1・11)

ホテルの利用法

宿泊するホテルには何でも揃っておりますが、私はほとんど使いません。理由は、一回使っただけでゴミになったり、そのたびに洗濯をしなければならないからです。資源がムダになり、ゴミが増えるだけだからです。私はできるだけ、持参した自分のものを使うように心がけております。備えてあるもので使うのは、タオル一枚とバスマットくらいです。(2・5)

ホテルの備品

ホテル代には、石鹸やシャンプーやカミソリ等の代金が含まれています。だからと言って全部使わなければ損だ、という考え方が人間を卑しくします。むしろ、使わずに全部残しておいた方が心が豊かになるものです。部屋の掃除に来た人も、その分楽ができて喜ぶでしょう。こういう考え方を持つ人が多くなると、世の中はどんどん良くなります。(2・11)

(絵・上村 禎彦)