『鍵山秀三郎「一日一話」』(PHP研究所)

鍵山 秀三郎(著)
亀井 民治(編)

「三十年歴史なる」

 「十年偉大なり
 二十年畏るべし
 三十年にして歴史なる」
 私の掃除人生は、まさにこの言葉通りのものでした。平凡なことを、何の見返りも求めずにやり続ける。至難なことです。
 その至難なことをやり続けたときに、周囲の人が動いて下さるようになりました。続けてきて良かったと実感しております。

(日付8・7)

「ムダをなくす」

 掃除をしていると、物事にムダがあることに気づきます。
 とくに会社は実にムダの多いところです。私は掃除を通して気づいたムダなことを、一つひとつ排除するように努力してきました。
 そうしましたら、それだけで会社の収益性が大幅に改善されました。
 掃除には、計算では解決できない不思議な力が秘められております。

(9・11)

「感性を磨く」

 生きていく上で大切なことは、鋭い感性を持つことです。感性は、頭の勉強だけでは養うことができません。身体を動かし、皮膚で感じて初めて感性が育まれます。
 そのためには、寒い中、暑い中、風が吹く中で掃除をしてみることです。
 そうすると、寒さ、暑さを通して、次から次に感性が研ぎ澄まされるようになります。

(10・31)

「工夫しながら掃除をする」

 いつまでも同じ範囲を同じ時間をかけて掃除をしているようでは、工夫が足りません。
 同じ範囲の掃除をするのであれば、効率を上げて時間を短縮する。
 同じ時間をかけて掃除をするのであれば、範囲を広げる。少しでも工夫改善しなければ進歩がありません。進歩しなければ続きません。

(11・10)

「深める」

 人が行き詰まるのは、いつも同じことを同じやり方でしているからです。
 人と同じことをするのは何も考える必要がないぶん、楽だけれども行き詰まります。
 行き詰まらないためには、広げるのではなく、深めることです。深めると自然に広がるようになります。
 いい物と深く接し、いい人と深く交わる。心すべき生き方だと思います。

(11・16)

(絵・上村禎彦)